『アナスタシア』シリーズとは
1994年、ロシアの実業家ウラジーミル・メグレは、シベリアのオビ川流域を航行する交易船の旅の途中で、タイガ(針葉樹林)の奥深くに暮らす不思議な女性と出会いました。彼女の名はアナスタシア。電気も水道もない森の中で、動物たちと共に暮らし、驚くべき知恵と能力を持つ彼女との対話は、メグレの人生を根底から変え、やがて世界中の読者の心を動かすことになります。
1996年にロシアで第1巻が出版されると、口コミだけで爆発的に広がり、シリーズ累計は3,000万部を超えるベストセラーとなりました。現在では20以上の言語に翻訳され、世界中にダーチャ(家庭菜園付きの小さな家)運動やエコビレッジの創設など、具体的な行動を引き起こしています。
日本語版は株式会社ナチュラルスピリットから刊行されており、翻訳の丁寧さと原文の持つ詩的な美しさが見事に調和した、読みやすい日本語で楽しむことができます。物語であると同時に、実践的な知恵の書でもあるこのシリーズは、読むたびに新しい発見があり、何度でも手に取りたくなる不思議な魅力を持っています。
アナスタシアが語る内容は多岐にわたります。植物の育て方、子どもの教育、宇宙の仕組み、人間の本来持つ能力、愛の本質、そして一族の土地という概念。これらは空想の産物ではなく、実際に世界各地で実践され、多くの人々の暮らしを豊かに変えてきた知恵なのです。
全10巻の概要
第1巻『アナスタシア』
すべてはここから始まります。実業家メグレがシベリアのタイガでアナスタシアと出会い、彼女の驚異的な生き方と知恵に触れる物語です。種に情報を記憶させる方法、植物との対話、子育ての本質など、常識を覆す視点が次々と展開されます。現代文明への根本的な問いかけであると同時に、自然と共に生きる具体的な方法が語られる、シリーズの原点となる一冊です。読み始めたら止まらない、圧倒的な引力を持つ導入巻。
第2巻『響きわたるシベリア杉』
第1巻の出版後、メグレの周囲で起きた変化と、アナスタシアとの再会が描かれます。シベリア杉(シダーナッツパイン)が持つエネルギーの秘密、響きわたる杉の伝説、そして人間が本来持っている創造の力について深く掘り下げられます。音とエネルギーの関係、植物が人間に与える影響、地球の自然が持つ壮大なネットワークなど、第1巻で芽生えた問いがさらに広がっていく巻です。
第3巻『愛の空間』
アナスタシアが描く理想の暮らし「愛の空間」の具体像が明かされます。1ヘクタールの土地に食べられる森をつくり、家族が永続的に暮らせる場を創造するという壮大なビジョン。庭づくりの実践的な知恵から、人間関係における愛の本質、男女の関係性の深い意味まで、暮らしの根幹に関わるテーマが美しく語られます。「愛の空間」という概念は、世界中で実際のコミュニティ形成に影響を与えています。
第4巻『共同の創造』
人類の起源と歴史を、アナスタシア独自の視点から壮大に描き出します。神と人間の関係、創造の本質、なぜ人間は現在の状態に至ったのか。古代の叡智と現代の課題を結びつけながら、私たちが本来持っている共同創造の力について語られます。スケールの大きな宇宙観と、日々の暮らしの中で実践できる具体的な知恵が、見事に融合した巻です。
第5巻『私たちは何者なのか』
人間の本質と可能性に正面から向き合う巻です。なぜ私たちは自分の能力を十分に発揮できていないのか、どうすれば本来の力を取り戻せるのか。教育制度の問題点、テクノロジーとの向き合い方、そして「考える速度」という独特の概念が語られます。現代社会のシステムに対する鋭い洞察と、それを超えていくための実践的な道筋が示される、知的刺激に満ちた一冊です。
第6巻『一族の書』
家族の歴史と記憶をどのように次世代に伝えるか——「一族の書」という概念を中心に展開されます。自分の家族の物語を書き記すことの意味、先祖とのつながり、そして子どもたちへの遺産としての知恵。具体的な書き方の指針も含まれ、読者自身が自分の一族の書を書き始めるきっかけとなります。血縁を超えた大きな家族の概念と、土地との結びつきの大切さが心に響く巻です。
第7巻『生命のエネルギー』
生命を支えるエネルギーの本質に迫ります。食べ物が持つ生命力、水の記憶、植物と人間のエネルギー交換、そして愛のエネルギーが現実を変える力。科学と精神性の境界を超えた視点から、健康で生命力に満ちた暮らしを実現するための知恵が語られます。日々の食事、呼吸、自然との触れ合いを通じて、生命のエネルギーを高める実践的な方法が豊富に含まれています。
第8巻上『新しい文明』
人類の新しい文明のビジョンが具体的に描かれ始めます。ロシア各地で実際に始まった「一族の土地」プロジェクトの様子、家庭菜園から始まる社会変革、そして新しい経済システムの可能性。アナスタシアの言葉が現実世界で形になっていく様子が、希望に満ちた筆致で記されます。理想論ではなく、すでに動き始めている変化の最前線のレポートとしても読める巻です。
第8巻下『新しい文明』
上巻に続き、新しい文明の姿がさらに詳しく展開されます。教育、経済、政治、コミュニティの在り方について、具体的な提案と実践例が数多く紹介されます。子どもたちが自然の中で学ぶ学校、競争ではなく協力に基づく経済、大地に根ざした民主主義。壮大なビジョンでありながら、一人ひとりが今日から始められる小さな一歩が丁寧に示されている、実践の書でもあります。
第9巻『アナスタシアの学校』
教育の本質に深く切り込む巻です。現代の学校教育が子どもたちから奪っているもの、そしてアナスタシアが提案する「本来の学び」とは何か。自然を教室とし、体験を通じて宇宙の法則を学ぶ教育の姿が鮮やかに描かれます。子育て中の親はもちろん、教育に関わるすべての人にとって、深い気づきをもたらす一冊です。
第10巻『アニスタ』
シリーズの集大成となる最終巻。アナスタシアの娘アニスタを中心に、次世代への希望と未来のビジョンが描かれます。これまでの巻で語られてきたすべてのテーマが収束し、人類の未来に向けた壮大な物語が完結します。読み終えたとき、あなたの中に新しい種が蒔かれていることに気づくでしょう。終わりであると同時に、あなた自身の物語の始まりとなる一冊です。
この本が伝える核心的な思想
家族の土地(ロドヴォエ・ポメスチエ)
アナスタシアが最も力を込めて語るのが「家族の土地」という概念です。1ヘクタール(約3,000坪)の土地を得て、そこに食べられる森をつくり、家族が何世代にもわたって暮らし続ける場を創る。これは単なる自給自足の提案ではなく、人間と大地が愛で結ばれる空間をつくるという、文明の根本的な転換の提案です。ロシアではすでに数百のコミュニティがこの概念に基づいて生まれ、法制度の整備も進んでいます。
種の記憶
植物の種は、単なる遺伝情報の運び手ではありません。アナスタシアによれば、種はそれを蒔く人の情報を記憶し、その人に必要な栄養を最適な形で届ける力を持っています。種を口に含み、自分の情報を伝えてから蒔くという実践は、世界中の読者が試み、驚くべき結果を報告しています。これは農業の技術を超えた、植物と人間の深いコミュニケーションの回復です。
響きわたる杉
シベリア杉(シダーナッツパイン)は、何百年もの間、宇宙のエネルギーを蓄積し、それを人間に届ける特別な存在として描かれます。響きわたる杉から作られたペンダントやオイルは、身につける人のエネルギーを整え、本来の力を引き出すとされています。植物が持つエネルギーの科学的な研究も進んでおり、アナスタシアの言葉は少しずつ現代科学と接点を持ち始めています。
愛の空間
「愛の空間」とは、物理的な場所であると同時に、そこに暮らす家族の愛のエネルギーによって満たされた空間のことです。庭に植えられた一本一本の木、花壇の配置、水の流れ——すべてが家族への愛によってデザインされたとき、その土地全体が癒しと創造のエネルギーに満たされます。この概念は、環境デザイン、パーマカルチャー、バイオダイナミック農法とも深く共鳴しています。
食べられる森
従来の農業が畑を耕し単一作物を育てるのに対し、アナスタシアが提案するのは「食べられる森」をつくることです。果樹、ナッツ、ベリー、ハーブ、野菜が多層的に共存し、生態系全体が食料を生み出す森。一度つくれば、最小限の手入れで家族を養い続ける永続的な食料システムとなります。これはフォレストガーデンやアグロフォレストリーの考え方と一致し、世界中で実践が広がっています。
子育てと教育
アナスタシアの教育観は、現代の学校制度とは根本的に異なります。子どもは自然の中で遊び、観察し、自ら発見することで、宇宙の法則を直感的に理解していく。大人の役割は教えることではなく、子どもの好奇心を邪魔しないこと。この考え方は、モンテッソーリ教育やシュタイナー教育とも共鳴しながら、さらに深い次元の教育の可能性を示しています。
人間と自然の共生
すべてのテーマの根底にあるのは、人間と自然は本来一体であるという認識です。私たちは自然から切り離された存在ではなく、自然の一部として、すべての生命と繋がっています。その繋がりを取り戻すことが、個人の健康、家族の幸福、そして地球全体の調和につながる。アナスタシアのメッセージは、環境問題への対処法ではなく、人間の在り方そのものの変容を促しています。
私たちの活動との関係
EKAM(エカム)代表のあいかがこの『アナスタシア』シリーズと出会ったのは、まだ都市で暮らしていた頃のことでした。第1巻を読み始めた瞬間から、言葉にできない衝撃が走りました。それは新しい知識を得た興奮ではなく、ずっと前から知っていたことを思い出したような、魂の深い部分が震えるような体験でした。
「家族の土地をつくりたい」——その思いが芽生えてから、屋久島への移住を決断するまでに時間はかかりませんでした。世界自然遺産の島、豊かな森と水に恵まれた屋久島は、アナスタシアが語る「愛の空間」を実現するのにふさわしい場所でした。
そして始まったのがEKAM——屋久島ダーチャプロジェクトです。オンラインスクールでは、アナスタシアの教えに基づいた暮らしの実践方法を共有しています。体験プログラムでは、実際に屋久島の土地で種を蒔き、森に触れ、大地との繋がりを体感していただいています。植樹活動は、食べられる森をつくるという壮大なビジョンの第一歩です。
すべてはこの本から始まりました。アナスタシアの言葉が、一人の読者の人生を変え、それが具体的なプロジェクトとなり、さらに多くの人々の人生に触れていく。そのバトンを、今度はあなたに手渡したいのです。
こんな方に読んでほしい
- 自然の中での暮らしに憧れている方
- 食の安全や自給自足に関心がある方
- 子育てや教育のあり方に疑問を感じている方
- 都会の生活に疲れを感じている方
- 環境問題に対して具体的なアクションを起こしたい方
- パーマカルチャーやエコビレッジに興味がある方
- 精神的な成長や自己探求の旅をしている方
- 家族や大切な人との関係をより深めたい方
- 「何か違う」と感じながらも、その答えが見つからない方
- 屋久島やダーチャプロジェクトに関心を持ってくださった方
一冊目を読み始めれば、きっとあなたも感じるはずです。この物語が、あなた自身の物語と深く共鳴していることを。
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